【ジャンル:RPG】
【発売元:スクウェア・エニックス】
【発売日:2005年12月15日】
【定価:4,800円】
日本が誇る三角関係RPGのGBA版
スクウェアのスーパーファミコン参入第1弾のソフトであり、
同ハードの萌芽期を盛り上げた『ファイナルファンタジー』シリーズの
4作目をゲームボーイアドバンスに移植。
オリジナル版は、スーパーファミコンの性能を駆使した
ファミコンとは一線を画するグラフィック、
リアルタイムの戦闘が緊張感を生む
“アクティブタイムバトルシステム(通称:ATB)”の初出など、
話題に事欠かない名作だが、
まずは移植に際してのおもな追加要素や変更点を紹介しよう。
- ラスボスに挑む最終メンバー変更可能になった
- 手ごわい追加ボスや強力な装備品が待っている隠しダンジョンが追加された
- ミュージックプレイヤーの追加(本編クリア後)
- 倒したモンスターを記録できるモンスター図鑑を追加
以上4点が大きな変更点だ。
ちなみに俺はモンスター図鑑をコンプしたので、この場を借りて自慢する!……
がんばって埋めたんです。お願いします! 見てください!
さて、『ファイナルファンタジーⅣ』(以下、FFⅣ)を語るうえで外せないのが、
本作の登場キャラクターの1人であるカインの不憫さである。
カインは主人公のセシルと同じく、軍事国家バロンの王に育てられ、
騎士として才覚を発揮していく。
そして、バロン軍白魔道士団に所属しているローザに恋心を抱くが、
当のローザはカインのことなどアウトオブ眼中に等しく、
その心はセシルに向けられていた……。
そう、FFⅣは三角関係RPGなのだ。
誰しもが経験したであろう叶わぬ恋の苦味をえぐり出すような容赦のなさが、
思い出したくもない青春の1ページを思い出させてくれる!
リア充セシルと非リア充カインの格差は、
GBA版で追加された隠しダンジョンのシナリオでさらに過度になる。
カインの居場所のなさに目を覆いたくなるほどで、
まさに傷口にクレイジーソルトを塗るような様相なのだ。
こんな扱いのカインだが、
彼は彼なりに自身の心の弱い部分と向き合い成長していく。
そのナイーブで不器用な人間臭さが、初恋が成就せずに青春を謳歌しそこなった
オルタナティブ男子たちの胸に響くのではなかろうか。
俺はカインに共鳴したオルタナティブ男子の1人なので、
セシルよりもカインが本作の主人公にふさわしいと思っている。
FFⅣは、本作GBA版のほかにも移植やリメイクが多い。
オリジナル版の約3ヵ月後に発売された
『ファイナルファンタジーⅣ イージータイプ』という難度を下げた
マイナーチェンジ版を皮切りに
PS・WSC・DS・ガラケー・PSP・スマホ……てな具合に
さまざまなプラットフォームで遊ぶことができる。
そのなかでもおすすめしたいのが、
PSP版の『ファイナルファンタジーⅣ コンプリートコレクション』だ。
コンプリートコレクションは本編のほかにも、
FFⅣから十数年後を描いた『THE AFTER YEARS -月の帰還-』と
FFⅣと月の帰還のあいだを埋める『Interlude』も収録された、いわば
“ファイナルファンタジーⅣインターナショナル・ディレクターズカット完全版”
といった装いになっているからだ。
しかし、そんな完全無欠のコンプリートコレクションにも気に食わない点がある。
それはグラフィックがドット絵ではないというところだ。
なんだかRPGツクール臭のするグラフィックにげんなりしてしまう
レトロゲームファンも多いはず……。
それでは、ドット絵狂信者たちはどうすればいいのか?
その答えが本作GBA版なのだ。
ただ、GBA版を購入する際に留意しなければならないことがある。バグである。
初期出荷版の「E3版」には致命的なバグが多いので、
こっそりと発売されたバグ修正版の「E4版」を買ったほうがいい。
判別方法はROMカートリッジのラベルに刻印された型番を見るほかにない。
理解のある店員にお願いして確認させてもらおう!
「E4版」については安定した移植だといえる。
FFⅣを携帯機でプレイしたいドット絵好きには最良の選択だと思う。
Wii Uのバーチャルコンソールでも配信中だ。
【8点】