ゴルフストーリー - フライハイワークス OFFICIAL WEB SITE
ゴルフストーリー ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
【ジャンル:ゴルフRPG】
【発売元:フライハイワークス】
【発売日:2018年3月9日(パッケージ版は2019年12月5日)】
【定価:1,500円(パッケージ版は3,900円)】
ゴルファーもゲーマーも、おねーさんも。
海外製インディーゲームのローカライズで定評のあるフライハイワークスが
発売したゴルフRPGが本作『ゴルフストーリー』だ。
先にダウンロード版が発売され、
のちにパッケージ版がビーサイドゲームズストアで限定販売された。
ビーサイドゲームズは厳選したインディータイトルのパッケージ化を行い、
自社サイトで専売していた会社で、パッケージ派の俺としては
ありがたかったのだけど、ファイナルセールを敢行したあとに
店じまいしてやがった! 俺は“いっせいトライアル”で遊んでみて、
かなり好みだったから、ヤフオクでパッケージ版を競り落としたというわけだ。
限定5,000本のパッケージ版。スリーブケース・コレクションカード・カセットテープ風ステッカー
といったオリジナル特典はコレクター魂をくすぐり、所有欲を満たしてくれる。
開発はオーストラリアのインディーゲームスタジオ、Sidebar Games。
このスタジオは兄弟2人だけで構成されており、
兄であるアンドリューさんのゴルフ好きが高じて制作に至った。
もともとは、Wii U用ソフトとして開発されていたらしく、
満を持してSwitchで発売された。なんと開発期間は約1年というから驚きだ。
ゲームモードは2つ。
ゴルフとRPGの調和が存分に楽しめるメインの“ストーリーモード”と
ゴルフ部分のみをプレイできる“クイックプレー”だ。
“ストーリーモード”では、イベントをクリアしたり、
コンペで勝てば経験値とお金を得られる。
主人公を強化し、いいクラブを入手して有利に進めていこう。
また、マップ上でボールを人や物に打ったり投げたりすることができ、
そのリアクションを見るのが楽しい*1。
物語は主人公が父親との約束を果たすため、
一度は諦めたプロゴルファーの夢にチャレンジするところからはじまる。
妻から嘲笑されながらも夢を追うことを決意する主人公。つかみはバッチリだ。
まずはウェルオーン・グローヴの地へと赴く主人公だったが、
そこはクセ者たちの巣窟だった。とにかくゴルフが下手くそで
明後日の方向にボールを打ちまくるツンデレのヒロイン的存在、ラーラ。
実力不足が顕著なキザ男、テディ。
シミュレーター依存症の肥満男性、ネイサンといった面々が君を待つ!
主人公に対して辛辣な言葉が目立つ、コーチ。しかし、彼には彼なりの理由があって……。
クラブハウスのオーナー、ラッキィは金の亡者だ。
キャラクターの個性に負けじとコースも一筋縄ではいかない。
最初のコース、ウェルオーン・グローヴはオーナーであるラッキィの
悪質な運営が原因でモグラや雑草が跋扈する荒れたコースだ。
ほかにも原始時代のようなコース、ルーク・バレー。
ホールの大部分が海面で占められ、
ウォーターハザード(2019年からの新ルールでいまはペナルティエリアと呼ぶ)の
危険性が高い、ベルミューダ島といった手ごわいコースが目白押しなのだ。
それから、各コースで発生する珍奇なイベントもプレイヤーを飽きさせまいと、
目を光らせているぞ。
ドローンを操作してボールをカップに入れるゴルフ。そのうち、実現されそう。
これはラジコンを操作するミニゲーム。BGMが激アツだ。
ワ……ワニ!?
クラブでジャック・オー・ランタンをぶん殴ってぐちゃぐちゃにするイベントは、
ムカつくやつの顔を浮かべるとはかどるぞ。
ボールを集めるミニゲームは、『パックマン』のようなドットイートゲームを想起させる。
DOT MATRIX WITH STEREO SOUND!?
このようにたくさん用意されたミニゲームやサブイベントだが、
もっとも手間暇をかけられているのは、
ファミコンの『ゴルフ』のような見た目の『ガルフ』だろう。
『ゴルフ』のオマージュだろうか。『ゴルフ』はゴルフゲームの基本スタイルを
確立した偉大な作品だ。
『ガルフ』にはファミコン時代を思い起こさせるマニュアルも実装されている。
バグっているのは、パッケージ版だからか? ダウンロード版をプレイした方、教えてください。
テキストの妙も本作の魅力で、翻訳が秀逸。
そのセンスは『MOTHER』シリーズのテキストを彷彿させ、
まるで糸井重里イズムを受け継いでいるかのようだ。
ベッドを調べると拝めるセリフ。惰眠は大罪である(迫真)。
ウイットに富んだ皮肉。
ジジイには言われたくねーよ!
テレビを調べたときに流れるCMのパターンが多くて感激。芸が細かいゲームは良ゲーのあかし。
登場人物のセリフの8割くらいはふざけていて、
それに主人公が平然とツッコむのが本作の持ち味だが、稀にグッとくる言葉がある。
このあたりも『MOTHER』っぽい。
2018年発売のゴルフゲームとしては大味という意見もあるが、
そもそも本作は『マリオゴルフGB』と『ペーパーマリオRPG』から
着想を得ている作品らしいから、本格的なゴルフを求めるのはお門違いだろう。
よって、シミュレーター寄りのリアルなゴルフゲームがしたいのであれば、
『栄光のセントアンドリュース』でもやってろ(テキトー)。
たしかにミニゲームの1つ、ディスクゴルフは操作性が難しいうえに、
ストーリー進行上必須なのでイライラする。
そして、1番の不満はホール開始時以外にホール全体を確認するすべがないことだ。
少しばかり問題点はあるものの、良質なゲームであると断言できる。
魅力的なキャラクターとストーリーに後押しされ、ゴルフの基本が身につくので、
ゴルフゲーム入門ソフトとして太鼓判を捺したい。
【8点】
*1:絶対にマネしないでね