【公開日:2002年3月30日】
異端で陰鬱なアナザーストーリー
はじめに言っておくと、前作の押井節や前々作の娯楽性を期待すると
肩透かしを食うから注意したほうがいい。
前作と前々作で監督だった押井守監督からバトンを渡されたのは、
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』で監督デビューを果たした
高山文彦監督。当初はOVAとして制作される予定だったが、
難産の末に劇場作品になった。
前作の感想はこちら。
舞台は2000年(昭和75年)の東京。
東京湾に墜落した輸送機の貨物コンテナから逃げ出した
“廃棄物13号”と呼ばれる異形の怪物を2人の刑事が追う。
主役の刑事2人、久住と秦は本作のオリジナルキャラクターであり、
ほかのパトレイバー作品には登場していない。
シリーズのファンであればあるほど、オリジナルキャラクターが軸になって
進んでいく構成に戸惑いを覚えたことだろう。
前々作『機動警察パトレイバー the Movie』で活躍した
松井と片岡が捜査する内容も想像したが、少しコミカルになってしまう気がするので
本作のトーンには合わなさそうだ。
賛否両論が目立つ作品ではあるが、特撮の独擅場であった怪獣映画を
アニメに落とし込んだ好例だと思う。
『ゴジラvsビオランテ』的なことをアニメでやりきった気概を感じる。
梅雨の話だけあって、ほとんどのシーンが雨か曇りの暗い雰囲気なのも、
悲しきバイオサスペンスの本作とうまくマッチしていて、俺は好き。
前々作の感想はこちら。
余談だが、主人公である中年刑事の久住を演じたのは、
『ピカチュウげんきでちゅう』や『ポケモンスナップ』のCMに出演し、
“ポケモンおじさん”の愛称で一世を風靡した故・綿引勝彦さんだ。
『ポケットモンスター 金・銀』前後のポケモン関連のCMに
多数出演されていたので、俺と同世代のポケモンキッズは
覚えている人も多いはずだ。