カサロシのログ

消化と記録(ゲーム成分多め)

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています。

ドット絵好きの理想を実現!? 伝統と革新がタッグを組んだ温故知新RPG『オクトパストラベラー』をレビュー

 





OCTOPATH TRAVELER ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

OCTOPATH TRAVELER を購入 | Xbox

【ジャンル:RPG
【発売元:スクウェア・エニックス
【Switch版の発売日:2018年7月13日 Xbox One版の発売日:2021年3月25日】
【Switch版の定価:7,480円 Xbox One版の定価:7,450円】

“HD-2D”はいいぞ

 いやあ、ひさしぶりにがっつりとRPGにのめり込んだ。
プレイ時間は、150時間をゆうに超えた。100時間以上プレイしたのは、
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ  ワイルド』以来だと思う。
対応プラットフォームは、SwitchとXbox Oneのほかにも、
Windowsや日本に上陸することなくサービス終了が発表された
GoogleクラウドゲームサービスStadia。
ちなみに俺がプレイしたのは、Xbox One版だ。

 開発は『天誅』『侍道』『勇者のくせになまいきだ。』などの
人気シリーズを手がけたアクワイア。調べてみると、そこそこ多くの話題作を
開発しているのにミリオンヒットは本作と1998年に発売された
初代『立体忍者活劇 天誅』の2本だけなのだから、ゲーム業界は厳しい。
そんなゲーム業界の荒波を乗り越え、
アクワイアにとって20年ぶりのミリオンヒットになった本作を
字数マシマシでレビューしていこう。

 本作は“伝統と革新の融合”を標榜した王道のファンタジーRPGだ。
まず、目を見張るのは懐かしくも新しいグラフィックで、
“HD-2D”と命名された新技法のたまものである映像美は、
ドット絵世代のハートをわしづかみにすることだろう。
俺もすぐに虜になってトゥンクしたぜ……。そう、おっさんはドット絵に弱いのだ。


“伝統”のドット絵と“革新”の3DCGによる光や水の表現は美しく、まるで絵画のようであり、
どのシーンを切り取っても名画として
美術館に展示できるといっても過言ではあるまい。

 主人公は8人のなかから選べ、
それぞれの主人公は“フィールドコマンド”という固有アクションを持っており、
このコマンドを行使すれば、さまざまな効果を得られる。
たとえば、神官のオフィーリアが使う“導く”と踊子のプリムロゼが使う“誘惑”は、
町人を仲間にでき、回数制限はあるものの戦闘にも参加させられる。
ほかにも町人に“試合”を申し込んだり、アイテムを“盗む”こともできるので、
うまく使えば序盤から強力な装備が手に入り、自由度の高い旅を楽しめるのだ。

 俺は亡国の騎士・オルベリク(CV:小西克幸)の
おやっさんを主人公にしたぜ。
とりあえず、脳筋キャラを選んどけば苦労はしないだろうし、
その渋さに惚れた。それになにより、クリアはしていないけど、
雰囲気が好きなスーパーファミコンの『バウンティ・ソード』というゲームの
主人公・ソードとオルベリクさんが俺のなかではかぶった。
ソードも元騎士なのだが、ある事件を境に賞金稼ぎとして
糊口を凌ぐありさまなのだ。うーん、2人ともむさくるしい! ビバ! 哀愁!

こんな老人を捕まえての“試合”もOK! いや、あかん。弱い者いじめ、カッコ悪い。

町人のなかには見た目に反して、手ごわいやつも混ざっているぞ。心してかかろう!

フィールドコマンドの“聞き出す”や“探る”を使うと、町人の子細な情報があらわになる。
何気ないNPCでしかなかった彼らでも、身の上話やドラマを知ることで愛着が増す。


フィールドコマンドを失敗すると市井の人から辛辣な言葉をかけられる。
子どもは無垢で残酷なのである。


ときには、こんな罵声を浴びせられることも……。やはり女性は怖い!

 バトルはザコ戦でも、ほどよく考えさせられるバランスで気持ちいい。
バトルシステムはターンごとに“BP(ブーストポイント)”と
呼ばれるものがたまり、連続攻撃やアビリティの強化が可能となる。
また、敵には弱点となる武器や属性と“シールドポイント”が設定されており、
弱点を突くことでシールドポイントが減少し、
ゼロにすれば“ブレイク状態”になる。この状態の敵は次のターンまで行動不能で、
なおかつ与えられるダメージが約2倍になるので必須のテクニックだ。
積極的に狙っていこう!

 スーパーファミコン後期から32ビット黎明期の
RPGをブラッシュアップしたような美麗なグラフィックもさることながら、
声優の演技やシナリオもよく、物語にぐっと引き込まれる。
シナリオは各キャラクターごとに全4章で構成されており、
キャラクターの魅力を深掘りするのに、ちょうどいい長さに感じた。
主人公8人のうち3人分のシナリオを担当された普津澤画乃新氏は、
マンガ家としても活動されていて、先日『少年ジャンプ+』にて
『ゲー魔王』という連載がスタートしたようだ。
さらに普津澤氏は、2023年2月24日発売の続編『オクトパストラベラーⅡ』でも
続投されるらしいので期待せずにはいられない。


 “伝統と革新の融合”をキャッチフレーズにしているだけあって、
単純にオールドゲーマーに媚びただけの作品ではなかった。
セーブポイントが多く設置されているのは、最近のゲームっぽくて親切だと思う。
ただ、もういっそ、どこでもセーブでもいいんじゃないか、とも思った。


戦闘時にフィールド上の等身よりもデカくなるボスキャラも昔ながらで最高!
このボスのパイスラッシュ(この場合“パイバックスラッシュ”なのかな?)は、
思わず痴情の目で拝んでしまうほどの緻密なドット絵だ。

 そして、難度についてだが第2章に突入したあたりから、わりと容赦がなく、
かなり歯応えがある。とくにボス戦は気合を入れないと、
全滅という憂き目に遭うぞ。裏ボスの難度はさらに高く、歯応えどころか、
「噛み切れないんじゃねえか」と思ってしまった。
1つだけアドバイスをすれば、レベル上げは1軍の4人だけじゃなく、
しっかりと8人全員しておいたほうがいい。
そうしないと、あとで泣きを見るのは君だ!
それから、これは注意点なんだけど、
タイトルの『OCTOPATH TRAVELER』の“OCTOPATH”は、
“octo”と“path”で8つの道(すなわち8つの物語)という造語でタコは無関係。
そもそも、タコの英単語は“octopus”が正解なので間違ってしまうと、
あとで恥をかくのは君だ!



 新技術“HD-2D”の第1弾にふさわしい熱量のある作品だった。
スマホでリリースされた『オクトパストラベラー 大陸の覇者』は
本作の前日譚なので俄然興味が湧いたし、
同じ表現技法を用いた『トライアングルストラテジー』や
ライブアライブ』のリメイクと
『HD-2D版 ドラゴンクエストⅢ』のプレイを後押しするには、
十分すぎる説得力があった。
こういう作品がオールドゲーマーとZ世代ゲーマーの懸け橋になればいいし、
ドット絵スキーが増えればいいなとも思う。
続編は来年の2月、“大陸の覇者”を目指しながら気長に待とう!

【9点】