カサロシのログ

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ゲームフリーク開発の日本神話RPG『BUSHI青龍伝〜二人の勇者〜』をレビュー

 


【ジャンル:アクションRPG
【発売元:T&Eソフト】
【発売日:1997年1月17日】
【定価:7,980円】

ゲーフリはポケモンばかりじゃないよ!

 1997年にT&Eソフトからスーパーファミコンでひっそりと発売された本作は、
ポケットモンスター』シリーズで押しも押されもせぬソフトハウスに成長した
ゲームフリーク開発の古代神話RPGである。
もともとは『勾玉伝説』というタイトルでエニックスから
発売される予定だったが、開発が難航しエニックスとの折り合いがつかなくなり、
新しいパブリッシャーとしてT&Eソフトが引き受けて
発売までこぎつけた少し訳ありのソフトなのだ。
1997年といえば紆余曲折あった『ジェリーボーイ2 ちょっとあぶない遊園地!』の
発売が中止になった時期でもあるので、
ゲームフリークにとって受難の年だっただろう。
また、この年からスーパーファミコン市場が縮小傾向になり、
1997年に発売されたソフトは29本で*1同時期に発売されたのは、
糸井重里のバス釣りNo.1』や『スーパーボンバーマン5』などだ。

 フィールド画面を見るだけだとオーソドックスなRPGであるが、
本作の最大の特徴はなんといっても戦闘システムだ。
“リレイティブ・タイム・アクション”と呼ばれる独自のシステムのそれは、
主人公が1つ行動すると敵も1つ行動し、
その行動回数によって戦果が変わるといったもので、
戦闘ごとに提示される目標行動回数をクリアしていく
詰将棋のようなおもしろさがある。

戦闘画面はサイドビュー。
言うならば、『不思議のダンジョン』シリーズをサイドビューにした感じの戦闘システムだ。


 そして、目標行動回数よりも少ないターンで敵を全滅させると、
目標行動回数から行動回数を差し引いたぶんの“光の勾玉”が手に入り、
これを集めないとノーマルエンドすら拝めない。
その数はノーマルエンドが800個、
トゥルーエンドが1300個という険しいものだが、
相棒の“ヲクウ”と力を合わせると必ず達成できるはずだ。

 ここでシナリオ面にも触れていこう。
要約すると海の兄神と山の妹神が兄弟ゲンカをはじめてしまい、
それに巻き込まこれた主人公を含む人間たちがいろいろとがんばる話。
神々がケンカなんて大人げないけど、
その理由が「山の妹神の管轄である地上は人間や太陽や緑などの
魅力に満ちた世界なのに、俺のつくった海は原始的な生物しかいなくて暗い世界……
なぜだっ!?」と兄神が嫉妬したことが発端なので「さすが、神。
ケンカの理由のスケールがデカい!」と感心する反面、「知らんがな」とも思う。

 前述の“ヲクウ”は呪いで魔物の姿に変えられた女の子で、
離れたところにいる敵を攻撃してくれたり、
戦闘マップを見渡してくれたり、
彼女に持ち上げてもらうことで主人公は宙に浮いたりできる。
戦闘やダンジョン攻略で必要不可欠な存在だ。
トゥルーエンドを迎えると彼女は人間の姿に戻るので、
迫害や偏見にさらされながらも気丈で献身的だった彼女が救われる。
漢なら絶対に彼女の笑顔を目に焼き付けて報われよう!!

ダンジョンもサイドビュー。
パズル要素もあってなかなか手ごわいが、“ヲクウ”と協力して突破するのだ!


民家などに入れば、テキストアドベンチャーのような構図になる。
杉森建氏と藤原基史氏によるキャラクターを存分に眺めよう。


 かなり意地悪なダンジョンがあったり、
“ヲクウ”の能力を使わなければ戦闘マップの全容がわからないのは気になったが、
唯一無二の戦闘システムと“ヲクウ”とのバディ感が際立つ、
もっと知られてほしいゲームフリークの意欲作だ。

【9点】

 

*1:1994年は370本、1995年は360本、1996年は152本