

【ジャンル:アクション】
【発売元:セガ・エンタープライゼス】
【発売日:1994年7月22日】
【定価:7,800円】
ゲーフリ版ロックマン?
ポケモンという絶対的なコンテンツがありながら、
『スクリューブレイカー 轟振どりるれろ』や『ソリティ馬』などの
意欲的な作品も発表しているゲームフリーク。
本作はポケモン前夜のゲームフリークが開発した
サイバーな横スクロールアクションだ。
恋人はおろか、友だちもいなさそうなナード特有のオーラを
背中から醸し出している好山博士がなにやら怪しい研究をしている。
恋人がいなければ、コンピュータ内に美少女を生み出せばいいじゃない……
といった感じで好山博士は人工生命体と恋に落ち、やがて2人は子どもを授かる。
ど、どういうことだってばよ……!? 次元を越えた性交が行われたのか……?
考えてもよくわからないので仮想空間でのバーチャル種付けプレスを経て、
サイバー受精をしたと自分なりに解釈しておく。
そして、そのサイバー受精の結果に誕生したのが本作の主人公、
“パルスマン”である! 説明書から彼のプロフィールを抜粋すると、
生年月日は2001年5月30日(ふたご座)、年齢は14歳、
血液型はA型(人間の父からの遺伝)で、
ふだんはコンピュータ・ネットワークのメモリ空間に住んでいるヒッキー*1だが、
有事の際は3次元世界に飛び出してくるのだ!
2016年にニコニコ動画へアップされたオープニングの暗号を22年越しに解読した動画。
電脳空間でのひきこもり生活に退屈していたパルスマンは、
秘密結社G・G(ギャラクシィ・ギャング)を率いるドク・ワルヤマの
銀河宇宙征服という常人離れした野望を打ち砕くために立ち上がるのだった。
ステージ1はG・Gにジャックされたテレビ局。
ステージの概要を教えてくれる彼女はパルスマンの
ガールフレンドのリーチェちゃんだ。かつてはG・Gだったが、
パルスマンと出会って改心し、組織を抜けたらしいぞ。
乙女を悪の道から救うなんてやるねえ! この色男! よっ、変態!
夜の街に煌々と輝くのはゲームフリークやセガのネオンサイン。
パルスマンは加速すると帯電してスパークリング状態になる。
さらにこのときAボタンを押せば、電気の塊“ボルテッカー”に姿を変え、
移動している方向の斜め上方向へ無敵状態で飛び上がれる。
ポケモンのピカチュウ系統の専用技であるボルテッカーの元ネタは本作なのだ。
赤いスーツがバブリーなこの人は、ジャックされていた衛星放送局・RWTの
人気美人アナウンサー、梨沙・ハットフィールドだ。
そんな彼女は『劇場版ポケットモンスター 結晶塔の帝王 ENTEI』に
カメオ出演しているようだぞ。
この赤と緑の鳥みたいな敵、ポケモンのネイティオっぽくない?
それから、本作には自意識を持つファイナルコンピュータ
“サント・アンヌ”が登場するが、これは紛れもなくポケモンで
おなじみの豪華客船サントアンヌ号の元ネタだろう。
ポケモンにつながる元ネタは探せばまだ見つかるかもしれない。
サイバーな雰囲気をうまく表現した結果、
副作用として目に優しくない配色が目立ってしまうのは残念だ。
とくにカジノステージはヤバい。ありがた迷惑なビジュアルショックである。
ゲームセンターCXで“光の刺激が強い部分がありますので
部屋を明るくして離れてご覧ください”とテロップが出たほどのヤバさなのだ。
ただ、ポケモンショックのようなことがあってはいけないので、
バーチャルコンソール版では輝度に修正が入り、
少しは目に優しくなったらしい。
あと、コンティニューが有限なのもちょっとつらい。
どうしてもクリアできない場合はステージセレクトの裏技を使おう!
やりかたはゲーム起動時、セガのロゴが出ているあいだに
2P側でA・B・C・C・B・Aの順にボタンを押すと、
オプションに“MAP”の項目が追加されているので任意のステージを選んで
通常どおりゲームをスタートさせると選んだステージからはじまるぞ。
カラフルすぎる画面と有限コンティニューは考えものだが、
メガドライブを代表する作品『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』に
匹敵するほどのスピード感を味わえるのは魅力。
ディレクターとデザイナーは田尻智氏と杉森建氏、
コンポーザーは増田順一氏というゲームフリーク発足時のメンバーが
総力を結集して制作した本作は、怪物ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』で
認知度が高まる前の彼らの情熱が詰まった佳作だ。
現在はNintendo Switch Onlineでもプレイ可能。
【7点】
*1:ひきこもりのこと。死語?