カサロシのログ

消化と記録(ゲーム成分多め)

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言霊システムでオリジナル魔法をつくろう! 『ルドラの秘宝』をレビュー



 


【ジャンル:RPG
【発売元:スクウェア
【発売日:1996年4月5日】
【定価:8,000円】

スクウェア大阪の力作

 ウィキペディアによると1996年に国内で発売された
スーパーファミコンのソフトは152本らしい。
翌年の1997年には29本にまで減るので、1996年がスーパーファミコンにとって
最後に盛り上がった年といえる。本作はそんな年に登場したRPGで、
スクウェアが発売したわりにはいまひとつ知名度がない作品だ。
同年に同社が発売したタイトルを見てみると、
フロントミッションシリーズ ガンハザード』『トレジャーハンターG
バハムートラグーン』があった。これらと比べると地味だというのが、
俺が抱いた本作の第一印象だった。

 ※今回の記事で使っている画像はアスペクト比がバラバラになってしまった。
レトロフリークで撮ったスクショなんだけど、仕様か不具合かわからん。
多少見づらいと思うけど、許しておくれ。


 なんだか世紀末的なことを言って、こちらの不安を煽る老人。
それもそのはず、本作の舞台は4000千年周期で覇権を握る種族が変わり、
その種族が滅亡する世界だったのだ。
今度は人間族が滅亡する番で、終末までに残された時間はあと16日。
3人いる主人公のそれぞれの視点で物語を進め、世界の破滅を阻止するのが目的。

 ここでネタバレをさせてもらうと、3人のシナリオをクリアすれば
4人目の主人公が登場するが影が薄い。ただ、こいつの名前は
同じくスクウェア大阪開発の『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』の主人公と
名前がいっしょなので、スタッフはこの名前に思い入れが強いのかな。


 スーファミ末期だけあってドット絵は極まっている。
とくに戦闘中は味方も敵も細やかなアニメーションでぬるぬると動く。
そして、戦闘のテンポもよい。


 ボスキャラはデカいだけあって多関節制御で各パーツが動きまくり、
モーションのパターンも多い。これは『ファイナルファンタジーVI』くらい
評価されていい仕事でしょ。


 敵のグラフィックがキモかっこいいものが多いのも俺にとっては嬉しかった。
東洋の宗教画に描かれている怪物のようなセンスで好きなんだよな。
“ルドラ”ってインド神話に登場する神らしいから、
オリエンタルなデザインのものが多いのかもね。
俺は画像のミミック*1のデザインが気に入ったので、
ミミックのグラフィックがいいゲームは名作」という仮説を勝手に唱えようと思う。
それから、“”〇〇L〇〇“”みたいな名前にレベルが入っていて自分の強さを
名前で強調してくるネーミングの敵も好き。
最初にやったゲームって、なんなんだろうね?


 本作最大の特徴は“言霊システム”。
このシステムはカタカナ1~6字を自由に入力して、
好きな言霊(魔法)をつくれるシステムで、つくった言霊はパーティで共用。
作成可能な数は最大32個までだが、回数制限やリソースの消費もなく、
最序盤から好きなだけ試行錯誤しながら強力な効能を持つ言霊づくりに勤しめる。

 言霊システムはとても奥が深い。
たとえば、“コントアク”という言霊は接頭語の“コント”と、基本語の“アク”を
組み合わせたもので、まるで言語の構造を紐解いているかのような
アカデミックな気分に浸れるシステムだ。
法則性を見つけるまではちんぷんかんぷんだと思うが、
ドラクエやFFのネーミングセンスをそのまま拝借して
“テレポ”とか“パルプンテ”とか入力するだけでも十分に楽しめる。
前者はダンジョンから脱出および戦闘から逃走の効果、
後者は何が起こるかわからない効果を発揮し、
驚くことに元のゲームの効果を意識したものになるのだ。

▲言霊システムの解説、スクウェア大阪の開発部長だった藤岡千尋氏へのインタビューを行うなど、
並々ならぬルドラ愛を感じるサイト。


 宝箱を開けたときにこういったメッセージが表示されることがある。
これは言霊をつくるヒントで、画像の場合だとかしこさがアップする言霊の
ヒントなのだ。“かしこさがアップした! ……ような気がしただけだった。”
というテキストは、参考書を買っただけで満足してしまうあの現象を
諭されたみたいで耳が痛い。

 『ポケットモンスター 赤・緑』『スーパーマリオRPG
星のカービィ スーパーデラックス』といった話題作と発売時期が近く、
そういった作品と比較すると本作の訴求力は低かったと言わざるを得ない。
パッケージに描かれた渋めのキャラクターイラストや終末寸前の世界観など、
地味で暗い印象もとっつきにくい要因で、当時手に取った人は少なかっただろう。

 しかし、実際にプレイしてみるとメインキャラクターたちは思ったよりも
朗らかで好感が持てる。これは、職場にいるいつも仏頂面の人に勇気を出して
話しかけてみると意外と親しみやすかった感覚に似ている。
また、戦闘バランスも良好で遊びやすい。

 美麗なドット絵、笹井隆司*2氏によるBGM、
複数の主人公の視点で物語を解き明かす楽しみ、噛めば噛むほど味が出る言霊システム。
これだけの魅力が詰まった本作は、
名作がひしめくスーファミ末期のソフト郡のなかで
月明かりのようにじんわりと光る滋味掬すべき作品である。

 過去にはWiiWii Uバーチャルコンソールで配信していたが、
記事執筆時点でプレイするには実ROMが必要。
駿河屋の値段を見てもじわじわと上がってきている気がするから、
ちょいマイナーなスーファミソフトに触手を伸ばしたいRPG好きは急いでゲットだ!!

【8点】

 

*1:RPGでおなじみの宝箱などに化けているモンスター。Mimicは“マネる”という意味の英単語

*2:時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』や『ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト』などの
コンポーザー。もともとはヘビメタやプログレのバンドに在籍していた