カサロシのログ

消化と記録(ゲーム成分多め)

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Is this a Mega Man? No, it isn’t. It’s a 『Mighty No. 9』をレビュー

 





【ジャンル:アクション】
【発売元:スパイク・チュンソフト
【発売日:2016年6月21日】
【定価:2,500円】

どんな判断や

 『ロックマン』シリーズのディレクション
バイオハザード2』や『鬼武者』のプロデューサーとして手腕を振るった
稲船敬二氏がカプコン退社後にKickstarterで出資を募って制作した
横スクロールアクションゲーム。

 ゲーム内容に詳しく触れる前に稲船氏の名言であり、
2010年のネット流行語大賞にもノミネートされた
「どんな判断や、金をドブに捨てる気か」略して
“どん判金ドブ”について説明したい。
この発言はテレビ東京系列の長寿番組『カンブリア宮殿』内にて、
カプコン社内での開発承認会議中、高額な開発費を要請した
開発者の川田将央氏に対して、当時はカプコンの役員だった稲船氏の
口から発せられたものである。
番組を観ただけだと、
経営陣になびいた数字にうるさい開発トップという印象だが、
真相はプレイアブルROMがあるのに完成度の低さを気にして承認会議の場で
出さなかったことに対して開発サイドの立場から、
「(全力を出さないなんて)どんな判断や、金をドブに捨てる気か」と
発言していたわけである。この発言の意図はよく勘違いされているだろうし、
俺も実はこの記事を書くまでは勘違いしていたから、
口角泡を飛ばす勢いで稲船氏の誤解を解きたいと思った次第だ。


編集って怖い。

 さて、稲シップこと稲船氏の疑念を晴らしたところで本題に入ろう。
本作は『ロックマン』シリーズを再構築した『ロックマンX』シリーズを
さらに再構築したような内容のロックマンクローンである。
制作チームにはコンポーザーの松前真奈美氏など、
本家シリーズに携わったメンバーを据えていることから
稲船氏の本気度がうかがえる。


 突如、ロボットが暴走するというお決まりのストーリー。
なお、Dr.ワイリーは登場しないのであしからず。

 暴走した“Mighty Numbers”と戦うことになる
主人公の“Mighty No. 9 ベック”。
彼の運命はお手伝いロボット“ロック”と酷似している。
写真右のポリゴンむき出しアフロ男はDr.ホワイト。ライト博士ではない。

 『ロックマン』シリーズに登場する“スナイパージョー”を彷彿させる敵キャラ。

 演出は派手で各ステージのボスキャラはキャラが立っている。
豪華声優陣によるフルボイスもうれしいポイントだ。

 『ロックマン』シリーズと同じく、
倒したボスキャラから特殊武器が獲得できる。

 メタボリックシンドローム脳卒中待ったなしの三田博士と
リボンがキュートなサポートロボットのコール。ロールちゃんではありません。


 コールちゃんを操作できるステージもあるぞ!

 こんな感じで決して出来が悪いゲームではないのだが、
Kickstarterでわずか2日で1億円超、最終的には約4億円の資金を調達し、
メディアミックス*1も視野に入れた大型プロジェクトになったことから、
肥大化したユーザーの期待に応えきれていない結果になったように思う。
それに発売が予定されていた3DS版とVita版が明確なアナウンスもないまま、
2023年現在まで発売されていないのは悪い印象を受ける。

公式サイト。ストレッチゴールの詳細やコンセプトアートを見られる。
コンセプトアートのほうが実際のゲーム画面よりも楽しそうなんだよなあ……。


ファミ通.comによる稲船氏へのインタビュー。

AUTOMATONの記事。
当時、日本に浸透していなかったKickstarterロールモデルとしての成功を評価している。
それにしても『ロックマンDASH』シリーズの精神的後継作といわれていた
『RED ASH 機鎧城カルカノンの魔女』の開発が中止になったのは残念無念だ。



本作のスタッフロールは約4時間もあり、クソ長い。
それだけKickstarterのバッカーが多い証明なのだ。

 敵を通常ショットで弱体化させて“アクセラレート(空中ダッシュ)”で
突進すると敵を吸収できるシステムは爽快だし、
倒したボスキャラがほかのステージに現れて手助けしてくれる演出も
共闘感があって熱い。
ロックマンの二番煎じではない本作独自の光る部分もある。
Wii UPS3PS4では配信終了になってしまったが、
Xbox 360Xbox One・Steamではまだ購入可能なので、
稲船氏の今後の活躍を待っているいとまにプレイしてみるのもいいだろう。

【6点】

 

*1:稲船氏はマンガ化・アニメ化・実写化・映画化を示唆していたが、
いずれも実現していない