カサロシのログ

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劣悪中古戦車で村を救え! 『突撃!ポンコツタンク』をレビュー

 


【ジャンル:アクション】
【発売元:ハル研究所
【発売日:1991年1月8日】
【定価:3,300円】

右回りのダンディー

 スーパーファミコンが登場して間もないタイミングで
ハル研究所がひっそりと発売したアクションシューティング。
のどかで平和なカントリー村は圧倒的な軍事力の
アクダ共和国に占領されてしまうのだが、村人たちは共和国の隙を突いて
戦車を鹵獲し反撃を開始する。
しかし、この戦車は砲塔が右にしか回らないポンコツだった。
カスのような戦力で大国に立ち向かう彼らに勝機はあるのだろうか――。

公式サイト。海外版タイトルは『TRAX』。

 本作の肝である3つのアクションをデカい文字でアピールしたオープニングは、
なかなか見応えがある。実はこのゲーム、19歳で『星のカービィ』の
企画書を書いた桜井政博氏がカービィよりも前に
開発に携わったデビュー作なのだ。

スマブラ拳!!”によるとハル研入社時の桜井氏は本作のアニメや仕様をつくったとのことで、
企画は別のデザイナーらしい。


 自機のポンコツタンク。『星のカービィ スーパーデラックス』などで登場する
“モトシャッツォ”はこいつが基になっている。

 自分の撃った砲弾が落ちてきて焦るポンコツくん。
天に向かって唾を吐くとこうなるから、みんなも気をつけよう!

 オープニングデモでアクダ共和国が攻め込んできたところ。
カントリー村の領土を蹂躙する軍用車両が掲げているのは、
アクダ共和国の国旗だ。なんだか大相撲の懸賞旗みたいで微笑ましい。
低スペックのレトロゲームだからこそ、
こういう細かい演出へのこだわりが利いてくるんだよね。

 敵の輸送車(トラックみたいなやつ)を破壊すると……。

 アイテムが出現する。
画像は“うしろにもでるん弾”で前後を同時に攻撃できるアイテムだ。
ほかにも破壊力とスピードに優れた“つきぬけるん弾”、
爆発によって広範囲へ効果が及ぶ“はじけるん弾”、
3ウェイショットの“わかれるん弾”がある。
攻撃用のアイテム以外ではHPを回復するガソリンや1UPが出ることもあるので、
積極的に敵の輸送車を叩くのだ!

 道中には中ボスが登場し、ステージの最後には巨大なボスも姿を現す。
画像はステージ1のボス、ドラゴン戦車である。
ちなみにモトシャッツォとドラゴン戦車は
あつめて!カービィ』にも登場するらしいぞ。
まさか『クロノ・トリガー』より先に
“かっこいいものとかっこいいものを合わせたらもっとかっこよくなるだろ理論”で
つくったとしか思えないドラゴン戦車を生み出していたなんて、
やるな! ハル研

 爆発エフェクトはモロに『星のカービィ』シリーズのそれ。
“へろへろ弾”も本作が初登場。

 本作には1人用モードのほかに最大4人で対戦可能な
マルチモードが搭載されている。
さあ、ほとんど普及しなかった不遇の周辺機器『4人用アダプタ』の出番だぞ!

 対戦モードでは重りをつけて2段階のハンデも設定可能。
重りをつけたプレイヤーは自機の速度が遅くなる。
誰もが楽しめるゲームデザインから桜井氏のおもてなしの一端を見た気がした。

 いまとなっては4人分のカートリッジを用意するのは困難だが、
1人でもCPUとマルチモードを楽しめる。
まあ、対人戦ならもっとおもしろいんだろうけどなー。

 成績発表画面の優勝してはしゃぐタンクと
最下位になって表彰台の脇で落ち込むタンクがかわいい。
砲身の向きで上手に感情を表現しているのがいいね!

 中断機能はないが全4ステージでゆるい難度のため、手軽に遊べる。
砲弾で敵や建物を破壊する爽快感がすばらしく、処理落ちもほとんどない。
残念な点はスコアがないのと対戦モードにアイテムが出ないことだが、
後者に関しては地味な展開になるとはいえこのほうが
バランスは取れているようにも感じた。

 砲塔を右回転しかできないがゆえに死角をいかにカバーするかが
重要なファクターになっている。
本作みたいに制約をうまくゲーム性へつなげている作品が俺は好きなのだ。
Nintendo Switch Online”に追加されて『カエルの為に鐘は鳴る』くらいの
評価を与えられてもいいのにと思う。
俺的にゲームボーイのトップ10には入ったかな。

【8点】

 

茶々丸パニック

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