【ジャンル:アクションRPG】
【発売元:スクウェア・エニックス】
【発売日:PS3/PS4/Vitaは2016年1月28日 Switchは2018年3月1日】
【定価:4,800円~7,800円】
世界の半分をもらった代償は大きかった
Xbox 360で『Minecraft』(以下、マイクラ)にはじめて触れたとき、
あまりにも自由で途方に暮れた。ロマサガの自由度でさえ持て余してしまう
俺からするとマイクラは手に負えなかった。
広大で殺風景な世界に不安を抱きながら苦労してつくった家が
自爆する緑色のやつに破壊され、何もかもが嫌になったのだ。
本作は俺のようなマイクラ不適合者にこそおすすめしたい作品で、
ドラクエとマイクラの合わせ技である。
物語はあの名セリフからはじまる。
広いフィールドで立方体ブロックを自由に配置し、
建築を楽しむといった内容はマイクラを踏襲しつつも、
国民的RPGドラクエの1作目をフィーチャーした内容で遊びやすい。
プレイヤーは失われた“創造する力”を持つ伝説のビルダーで、
その能力を使い『ドラゴンクエスト』シリーズでおなじみの舞台である
“アレフガルド”を覆う闇を払いのけ、
荒廃してしまった世界を復興させるのが目的だ。
ストーリーは4章構成で“メルキド”や“リムルダール”といった
ドラクエゆかりの地を冒険する。
地域ごとの特色がはっきりしており、メリハリがあってダレにくい。
また、ストーリーモードのほかに“フリービルドモード”があり、
このモードではモンスターに妨害されずに思う存分、建築に精を出せるぞ!
勝手に居ついた住人たちから命じられるおつかいをこなし、どんどん拠点を大きくしよう!
寝ながら命令されると何かが込み上げてきて、寝耳に水を入れたくなる。
序盤に登場するヒゲと鼻毛がつながりそうな中年男性はパワハラ気質だぞ。
おおきづち、もふもふしたいお。
たしかにこれは難しい問題だ……。
フィールド中にある素材を採取したり、拠点に湧いてくる浮浪人や
そこらにいる魔物から託されたおつかいイベントを達成すれば、
新しいものをビルドできるようになる。
ゴージャスな家具や施設をつくり、拠点レベルを上げていけば
ストーリーは進行するぞ。
マイクラと違い、NPCが目的を提示してくれるから遊びやすい。
建物によっては“設計図”があり、そのとおりに資材を配置すれば完成するので
ハードルは低い。随所にサンドボックスゲームに慣れ親しんでもらおうという
工夫が凝らされている。
Switch版は“フリービルドモード”でベビーパンサーに乗れるなどの追加要素があるのだ!
ブロックを積み上げて崖を越えていくのが楽しい。
拠点に住人が増えてくると人間関係が複雑になる?
うっせー、お局が!
物騒な資材を配置すれば、モンスターを殲滅する城塞都市も建設できるのだ!
高所に長い橋をかけるのもタマヒュンになっておもしろい。
こんなパターンもあるのか。
“返事がない”シリーズの犠牲になったキラーマシン。
環境破壊は気持ちイイZOY!
「これでCEROレーティングA?」と思った俺はもうダメだ……。
「マイクラの真似事でしょ?」と高をくくってプレイしないのはもったいない
日本人の日本人による日本人のためのサンドボックスゲームである。
そもそも、ドラクエは『ウルティマ』と『ウィザードリィ』から
影響を受けているので、いまさら真似事と言われても痛くも痒くもないはずだ。
日本人がマイクラのようなゲームを最初に生み出し、
世界中に届けることができなかったのは残念だが、
秀逸なアレンジが施された作品はたとえ多少の二番煎じ感があろうとも、
優れた作品であると声を大にして言いたい。
【8点】