Unpacking アンパッキング ダウンロード版 | My Nintendo Store（マイニンテンドーストア）
「Unpacking」をApp Storeで
【ジャンル：パズル】
【発売元：Humble Games】
【発売日：Switch/Xbox/Steamは2021年11月2日 PSは2022年5月10日】
【定価：Switch/PSは2,090円 Xbox は2,350円 Steamは2,050円】
過去の門出を噛みしめずにはいられない
年々１年が早く感じる。
それは中年が間近に迫った多くのアラフォーが抱く共通認識だと思うが、
ジャネーの法則は少し手加減を覚えたほうがいいとも思う。
カレンダーは最後のページを示し、世間は年末ムードに包まれる季節になった。
年内は慣れ親しんだ我が家で鍋を囲い、年始には心機一転、
新居に引っ越しする人もいるんじゃないかな。
引っ越しといえば、荷造りと荷ほどき。
前者は思い出を梱包する作業で、後者は思い出を開梱する作業だ。
今回レビューする『Unpacking アンパッキング』は
オーストラリアのインディーゲームスタジオ、
Witch Beam開発の荷ほどきをテーマにしたパズルゲームである。
ゲームの舞台は引っ越しして間もない、
荷ほどきすべきダンボールが残っている部屋だ。
積み上げられたダンボールをどんどん開梱して、
中から出てくる品々を所定の場所に設置していくシンプルなルール。
プレイヤーは主人公の女性の人生を引っ越しと荷ほどきを通して追体験していき、
８つの時代（ステージ）の35部屋で思い出とホコリにまみれていく。
ゲーム中に人物は登場しないが、ものを語り部にすることで
物語を構成しているセンスには嫉妬してしまった。
すべてのものを置けば誤った場所に置いたものが光るので、
再考して正しい場所に置き直そう。
ステージクリア後にはアルバムに写真とひと言コメントが綴られる。
この断片的な情報を結びつけるのが、多くを語らない本作を詳しく知る
重要な手がかりとなるのだ。
ステージが進むごとに部屋数と荷物の数は増えて難度が上がっていく。
ブラウン管モニターが懐かしすぎる！
小学校のコンピュータ室にあったなあ……（遠い目）。
ユニットバスを見ると１人暮らしのころを思い出す。
トイレットペーパーが濡れないようにしなくちゃね。
あのころ住んでいたのは幹線道路から１本入ったマンションの角部屋で、
２件隣にドラッグストアがあって駅近の、
家賃のわりにはなかなかの優良物件だった。
これはセーラーヴィーナスのコスチュームか？
今晩あたり、マーズとヴィーナスに踏まれる夢を見たいと思っている変態は俺だ！
火星に代わって折檻して、金星に代わって（歪んだ）愛の奇跡を見せてください。
でも、当時は『美少女戦士セーラームーンS』に登場した敵の女幹部、
カオリナイトにぞっこんでした。
ダンボールを空っぽにして畳むときや皿を重ねるときの音が心地よい。
本作は、ものを置いた音への強いこだわりが感じられるのだ。
食器はなるべく増やしたくないけれど、
マグカップは理想のものを求めて増えがちなんだよなあ。
これはタンポンなんだろうけど、初見では何かわからなかった。
なじみのないものは当てずっぽう戦法で置いていくしかない。
本作の考察と用途不明のアイテムを載せてくれているサイト。ネタバレ注意！
生理用品のパッケージに描かれている花はなんと可憐なのだろう。 #Unpacking #アンパッキング #XboxShare pic.twitter.com/Hfl2ddTobA
— カサロシ (@Kasarosi) 2023年12月2日
戯れ、その１。
安西先生……!! 体育館に下着を並べる仕事がしたいです……。 #Unpacking #アンパッキング #XboxShare pic.twitter.com/jVYyPCfZI5
— カサロシ (@Kasarosi) 2023年12月2日
戯れ、その２。
主人公の女性はゲーム好きでゲームキューブやWiiを所持している。
ステージが進むにつれてゲーム機が増えていく様は、
ちょっとしたゲーム史のようで感慨深い。
また、家電や家具などの生活用品も主人公やパートナーの関係、
経済状況を如実に映しており、部屋やものは無言で雄弁なのだと感じ入った。
ゲームキューブを知らない世代も増えてきているんだよな。平成は遠くなりにけり……。
爪切りをリビングのテーブルに置くのが認められないのは理解できなかった。
俺はティッシュを敷いて机上で切るんだけどね……あっ、足の爪は床で切るよ。
ちなみに正解の配置は洗面所。洗面所で切るのが多数派なのかな？
荷ほどきという限定的な行動に人間模様を集約させた本作は、
穏やかでありながら人生の濃淡を見事に描いた作品だ。
１人で思い出に浸りながらプレイするのもよし、
同棲する予定のあるカップルが“配置の価値観”を
ああでもないこうでもないと言いながらシミュレートするのもよし、
または大掃除のついでに部屋の模様替えを画策している人にもおすすめな
人生の門出にプレイしてほしい１本なのである。
【８点】
