トリップワールドDX - Trip World DX | SUNSOFT
トリップワールドDX | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
【ジャンル:アクション】
【発売元:ダウンロード版はサンソフト
パッケージ版はSUPERDELUXE GAMES】
【発売日:Switchのダウンロード版は2023年11月30日
PS5/PS4のダウンロード版は2024年2月15日
パッケージ版は2024年3月28日】
【定価:Switchのダウンロード版は2,800円 PS5/PS4のダウンロード版は2,750円
パッケージ通常版は4,980円 DELUXE EDITIONは6,980円】
職人技が光るガンギマリアクション!
1992年にサンソフトから発売されたゲームボーイ用
横スクアクション『トリップワールド』がまさかのリメイク!
原作はレアゲーすぎて俺を含むゲームボーイコレクターのあいだでは、
幻のゲームと言われていたとかいないとか。
現在の相場はカートリッジのみで3万円、
箱説ありだと10万円前後で取り引きされているが、
過去に移植されたのは3DSのバーチャルコンソールだけなのだ。
そんなレアソフトをレトロゲームブームが激化する前にヤフオクで
1,500円前後で競り落としたのが、俺にとって最大のネットオークション武勇伝だぞ。
さて、アラフォーおじさんの自慢話はこれくらいにしておこう。
今回レビューするのはゲームボーイ屈指のレアゲーをカラー化した
『トリップワールドDX』である。
俺がプレイしたのはPS5版だから、そこんとこよろしく!
これが『トリップワールド』のカラー版『トリップワールドDX』だ。
当時の開発者が監修した配色は“DX”と呼ぶにふさわしい。
ゲームボーイカラーでリメイクされていても、こんな感じになったかもね。
こっちはオリジナルのモノクロ版。“DX”じゃないほうの『トリップワールド』。
これはこれで陰影の渋みがあっていいんだ。
初代ゲームボーイ時代の描き込まれたグラフィックって、たまんねえよな!
この画面でタイトルを選択しているときにシームレスな処理で
カラー版とモノクロ版が切り替わるのは感動したぜ。
オリジナルのレビューはこちら。
ゲーム内容はチンチラっぽい生き物であるシャブブ族の若者・ヤコプを操作して、
平和の象徴・マイタの花が盗まれたがために荒れているトリップワールドの
治安を取り戻すといったものだ。固有名詞にヤバみを感じるがスルーしよう。
ヤコプは短足キックで敵を攻撃でき、空中モードと水中モードに変身も可能。
さらにアイテムを取れば、より個性的な姿になる。
というか、このデモを見てポケモンのバトル画面みたいな
構図だと思ってしまったよ。
誰?
ファミコン後期の高難度横スクアクション『ギミック!』の精神的続編だが、
あそこまで人を選ぶ内容ではなく本作の難度はゆるゆるで
誰でも楽しめる味つけになっている。
敵はこちらから攻撃をしなければ無害のものが多く、好戦的なのはボスくらいだ。
道中にいる多彩なザコキャラと戯れるのが開発者が望んでいる
本作の楽しみかたらしいぞ。
『ギミック! スペシャルエディション』のレビューはこちら。
ザコキャラの使い回しが少ないうえに1体1体の動きが非常に凝っていて、
思わずにんまりしてしまう。
そのこだわりっぷりは家事をしている家族の手を止めて、
「うわ、すげえ! 見て! 見て!」と言いたくなるレベルだ。
たとえば、この海藻が……。
なめらかな動きでタニシのようなやつにモーフィングするのだ!
あと、これも見て! 見て! ねば~る君*1ばりに伸びているよ。うひょー!
ステージ4・プリンランドはお菓子の国。
カラーになった恩恵が1番大きいのは、このステージじゃないかな。
なんだかプリンアラモードが食べたくなってきたぞ。
ゲームオーバー画面の哀愁を帯びたヤコプの背中。
夜風に揺れる草と三日月が物悲しさを増幅させる。
もうね、この入道雲のドットでご飯3杯はいけるね。
コンティニューはない本作だけど、
タイトル画面でPS5/PS4版はタッチパッドボタン、
Switch版は-(マイナス)ボタンを押すと中間地点も選べるステージセレクトと
サウンドテストが現れる。
色を変えながら円盤のように回転しているカーソルがとてもきれいでよい。
それから、スタッフロールで流れる開発チームのロゴもいい感じだ。
『トリップワールド』をつくったチームなので“トリップチーム”、文句ある?
開発者のインタビューによると当時は同人ソフトをつくるようなノリで
本当に好きなように制作できたみたいだ。サンソフトは懐が深いね。
本作の“DX”なところはカラー化だけではないぞ。
貴重な当時の資料を見ることができるのだ!
敵キャラの設定もこのとおり。
キャラ被りしないようにそれぞれのキャラを特徴づけてつくっているのが
ひしひしと伝わってくるね。
オリジナルのパッケージ。汚れが目立つ白色だから、美品はよりレアだろうな。
パッケージの裏面。画面写真はおろか一切の説明を排した
思い切ったデザインに惚れ惚れする。でも、任天堂には怒られたらしいよ。
海外版パッケージの裏面には、画面写真と説明があるね。
レトロゲームの説明書に載っているマンガからしか摂取できない栄養がある!
1995年にアーケードで稼働した2D格闘ゲーム
『ギャラクシーファイト ユニバーサル・ウォーリアーズ』には中ボスとして
ヤコプが登場する。サンソフト製の格ゲーって珍しいから
『わくわく7』と併せてプレイしたくなったぜ。
いまなら、どちらもアケアカで配信されているから手軽だしな。
ディレクター・植田祐一氏のインタビューも収録。
植田氏はオリジナルが出たころのアクションゲームに疑問を感じており、
そのアンチテーゼとして本作を開発したとのことだ。
敵に触れるだけでダメージを受けるのはおかしいというくだりは非常に共感した。
そういえば、ヤコプのやられモーションがロックマンっぽいと思ったけど
植田氏はロックマンがお気に入りとおっしゃっていたぞ。
植田氏のインタビューはYouTubeでも観られるぞ!
フィルターでゲームボーイ風の画質にしたり、フレームが変更可能だ。
ゲームボーイカラーは無難なチョイスだけど……。
ハイパーボーイって! 持っている人、見たことねえぞ!
ハイパーボーイについて詳しく書かれている記事。
“ミュージックビデオ”って項目を選択したら、謎のDJがノリノリでクソワロタ。
アレンジがかっちょいい! もちろん、オリジナルのオーディオトラックも
リマスターして収録されているので原曲厨も安心してくれ。
PS5/PS4版のトロコンも狙いやすく、穏やかな難度のアクションを
楽しみたいときにちょうどいいタイトルだが、
最終ステージのボス3連戦はヤコプのリーチの短さもあいまって
なかなか難しい。
また、“すべての姿に変身せよ”というクリアまでにヤコプをすべての姿に
変身させるのが条件のトロフィーだけ、取得するのに少し工夫が必要。
まあ、最終ステージでいろいろと変身を試していたら取れると思うよ。
こんなにこだわってつくられているのにセールス的には振るわず、
ごく一部のマニアにしか知られないまま幻のゲームとなってしまった
力作アクションで不思議な生物たちと戯れてトリップしてみてほしい。
【8点】