カサロシのログ

消化と記録(ゲーム成分多め)

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スライムが主人公の横スクロールアクション! 『ジェリーボーイ』をレビュー


ジェリーボーイ(駿河屋)


【ジャンル:アクション】
【発売元:エピック・ソニーレコード】
【発売日:1991年9月13日】
【定価:8,500円】

魔法をかけられてスライムになってしまった件

 最弱モンスターの代表格といえば、スライムである。
スライムとは多くのRPGで最序盤に登場しては、
勇者の剣の錆になるかわいそうな存在である。
今回レビューするのは、そんなぬめぬめのあいつが主人公の
横スクロールアクション『ジェリーボーイ』だ。
開発はPCゲームファンならご存じのシステムサコム、
企画はのちにポケモンのヒットで一躍つよつよデベロッパーになった
ゲームフリークで同社が法人化されてからの最初の作品なのだ。

スライムが最弱として定着した歴史を『ゼビウス』の作者、遠藤雅伸氏が語っている記事。

 


 スライムが主人公といっても彼はもともとは人間で、
その正体は平和な王国の王子・ジェリーであった。
弟のトムと仲よく暮らすジェリーは、近いうちにエミー王女と結婚する予定で
国中が祝福ムードに包まれていた。しかし、最近この国に現れた魔法使いが
トムをそそのかし、ジェリー国王の座とエミー王女の純潔を奪おうと
画策するのだった。不幸にも魔法使いの手によってスライムの姿になってしまった
ジェリー王子は下水道に捨てられ、幸福から絶望への急降下を喫するが、
「エミーに会いたい。元の姿に戻りたい」という思いを胸に抱き、
魔法使いとトムをメッタメタのギッタギタにしようと城へ向かうのであった。


 不定形な体を生かし、狭いパイプの中に入るジェリー。
この表情からは王族としての気品を微塵も感じない。


 体内に入れたボールを敵に発射するのがおもな攻撃手段。
道中に落ちているボールは最大9個までストックできるぞ。


 町では積極的に人に話しかけて情報収集をしていこう!
“ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~”によると、
海外版では町ステージがオミットされているようだ。
また、操作ボタンの振り分けも見直されており操作性が向上しているとのことだ。


 各ステージの最後はボス戦。画像のこいつは最初のボス、バーディー。
腹にイニシャルの“B”が書かれているが、スプライトの関係で
向きが変わったときに反転している。
こうやって見ると、『スーパーストリートファイターII』の
ディージェイのパンツに書く文字を“MAXIMUM”にしたのは天啓だと思う。
文字そのものが左右対称であれば、
キャラクターの向きが変わっても正常に表示されるのだから。
ちなみに本作のプログラミングを担当したのは、
実在を疑われるほど謎の多い人物、マーク・フリント*1氏である。

インターネットアーカイブ上に見つかったマーク・フリント氏の
貴重なインタビューを共有してくれているポスト。

 


 とにかく、杉森建氏がデザインしたキャラクターがかわいい。
本作の前にゲームフリークがKIDと共同開発した『クインティ』のような
テイストが感じられるかわいさだ。そういえば、『クインティ』のために
Switchの『ナムコットコレクション』がほしいんだよなー。


 クジラに飲み込まれるのはアクションゲームの海ステージではお約束の展開だ。
だが、この老夫婦のイベントはとても印象に残った。
伴侶の身を案じる老紳士が木箱に腰を下ろしているが――。


 腹壁1枚隔てたその先には老婦人がいるのだった。
物理的には近くにいるのに会えなくなってしまった
老夫婦が過ごした長い時間を思うと切なくなる……。


 月のステージにはめんこいウサギがいるぞ。残念ながら敵だけどね。
いまだに俺は月の模様が餅つきをしているウサギに見えたためしがありません。

海外での月の模様の捉えかたについて言及された記事。

 かわいいキャラクターが多い本作で異物感を出しているのが、
バンダナとサングラスしか着していないファイヤーダンサー。
通学路や歩行者天国にいたら、ただちに逮捕される身なりである。
彼を見たとき、ポケモン第2世代に登場した
“ひふきやろう”というトレーナーを思い出してしまった。
そちらはピエロみたいな見た目できちんと着衣しているので、
残念ながら不審者みは薄れてしまった。

ひふきやろうとはなんだったのか。

 本作はコミカライズされており、
ファミリーコンピュータMagazine』で連載後、単行本も発売。
当時はマンガ家としても活動していた杉森建氏が作者だ。
この単行本は稀覯本で現在は入手困難*2だが、2014年に発行された氏にとって
初の作品集となった『杉森建の仕事』にも収録されている。
とはいえ、こちらもいまではプレミア価格だが……。

 それから、本作を語るうえで忘れてはならないのが発売中止になってしまった
続編『ジェリーボーイ2 ちょっとあぶない遊園地』の存在だ。
1994年ごろに開発され、1997年ごろには『マジックボール』と改名し、
発売元をPOW(プランニングオフィスワダ)に移したが発売には至らなかった。
開発中の画面を見る限り出来もよく、BGMは当時、電気グルーヴに在籍していた
砂原良徳氏が担当していたので、発売中止を悔やんでいるゲームファンも多いだろう。
ただ、渇望しているファンがいるのをいいことに
パチモンを流布させている不届き者もいるので注意してくれ!

『マジックボール』について詳しく言及されて記事。


 「ゲームは動詞でできている」。
この言葉は、ポケモンの生みの親であり、
ゲームフリークの社長である田尻智氏の言葉である。
ポケモンでは、“集める”や“戦う”。このゲームでは、“伸びる”や“貼りつく”といった
アクティビティが氏の言った動詞にあたる部分なのだろう。
本作でも氏の手腕が遺憾なく発揮されていて、体を伸ばして攻撃したり、
壁に貼りつくなど、スライムならではのアクションが楽しい。

電ファミニコゲーマーによる遠藤雅伸氏・田尻智氏・杉森建氏の鼎談記事。
ゲームファンなら必読してほしい濃い内容だった。


 動いているのを見るだけでもおもしろく、操作するとキャラクターの
動きひとつひとつから説得力が感じられる、とてもよくできたゲームだ。

【8点】

 

*1:かつて、システムサコムに在籍していたスタープログラマ。名前は外国人っぽいが日本人

*2:俺は所蔵している。えっへん!